Digital Product Passport (デジタル製品パスポート)
Digital Product Passport (以下、DPP) とは、製品ライフサイクルのあらゆる段階(製造、配送、使用、廃棄など)で製品に関する情報を記録したデータ群です。製品に関するさまざまな情報が電子的に保存される必要があります。これらの情報に、サプライチェーン関係各社、行政府、消費者がいつでもアクセスできることが求められます。
DPPは、欧州グリーンディール(特に欧州委員会の持続可能な繊維製品戦略および持続可能な製品のためのエコデザイン規制(Ecodesign for Sustainable Products Regulation:ESPR)に基づいている。)の中で、EUの市場に出る全ての製品や原材料(食品、飼料、医薬品など一部カテゴリを除く)に対し対応を義務付けるものとして記載されています。日本からEU内に輸出される商品も対象です。カテゴリごと段階的に施行され、繊維、鉄鋼カテゴリの製品については2027年内に対応が必要となるとされています。
GS1の考えるDPP
ESPRのArticle 10では、DPPの要件について、次の記載があります。
- データキャリアを介して、永続的で一意の製品識別子に接続されなければならない。
- DPPに含まれる全てのデータは、相互運用可能なフォーマットで開発されたオープンな標準に基づかなければならない。
グローバルで一意になるGTIN (Global Trade Item Number) を核として商品を識別することで、DPP対応に必要となる「ユニーク性」を担保することができます。
GS1はISO/IEC 15459のIssuing Agency (発番機関) であり、GS1の識別コードはESPR Annex III で言及されているISO/IEC 15459に準拠する必要性を満たしています。
現状、GS1ではGS1識別コードをデータキャリアにGS1 Digital Link URI方式で書き込んで使うことを推奨します。GS1 Digital Link URIを消費者がスマートフォンで読み取ってウェブ上の情報にアクセスすることができるようになり、URIから取り出したGTINはDPPレジストリーにおける商品の識別に利用されます。
※ GS1 Digital Link標準について詳しくは、GS1 Digital Linkのページをご参照ください。
GS1 in Europeでは、ESPR対応に向けたホワイトペーパーを公開しています。
GS1 in Europeウェブサイト(外部リンク)

<識別の粒度>
ESPRで求められる3つの識別粒度 (product model, batch, item) それぞれについて、GS1標準を活用する場合は下記のようにGS1識別コードや属性情報を組み合わせて利用することになります。
- model: GTIN (+CPV)
- batch: GTIN + ロット番号
- item: GTIN + シリアル番号
※ CPVやロット番号、シリアル番号等の属性情報を表現するアプリケーション識別子について詳しくは、GS1アプリケーション識別子のページをご参照ください。
(注)ESPRの詳細については、EUの公式文書を参照(外部リンク)
お問合せ先
ソリューション第1部
solution@gs1jp.org