会長挨拶

当財団は流通システムの合理化・標準化のための専門機関として1972年に設立されて以来、流通に係るさまざまな標準とその利用システムの導入促進に取り組んで参りました。中でも、POSで利用されることでご存知の方も多いJANコードは、当財団が加盟している国際標準化機関「GS1」の商品識別コード(GTIN)として世界中で利用が拡大しています。
このようなGS1の国際標準コードは、消費財のPOSなどでの利用にとどまらず、インターネット販売や業務用商品流通、あるいは医療分野における製品識別にも広がりつつあり、ますます重要性を増しております。また、これらコードをリーダーやスキャナーで読み取るための媒体(データキャリア)として、1次元バーコード、2次元シンボル、RFID(電子タグ)などが用途に合わせて各種用意されています。商品を識別するだけでなく、消費期限やロット番号などを表示できるものもあり、多様な利用が可能です。
当財団では、上記のような標準化活動に加え、インターネット対応の標準EDI(流通BMS)の普及推進、商品の属性情報データベース(JICFS/IFDB)の整備とその提供も重要な業務となっています。さらに、国内のGS1事業者コード利用者(ブランドオーナー)が、GTINの設定や自らの商品情報の管理を容易に行えることなどを主な目的としたGS1 Japan Data Bank(略称 GJDB)の開発を行っており、流通業界のデジタル化に対応すべくさらに充実したサービスを展開してまいります。
現在、新型コロナウイルス感染症により、世界は未曽有の危機を迎えております。経済的悪影響は、リーマンショックを上回る事態となりつつあります。インバウンドや国内顧客の来店減少などにより、従来のビジネスモデルが行き詰まるなかで、流通業界においてはICTの積極的活用による業務の効率化やインターネットの利用による新たな顧客開拓など、新型コロナウイルス感染拡大を契機とした環境変化への対応が模索されております。
この新たな局面において、GTINをはじめとするGS1標準の識別コード、データキャリア、データベース等を積極的に活用し、新たな環境にも適応しうる流通システムを構築することによりこの難局を乗り切り、流通業界全体のデジタル・トランスフォーメーションが実現されることを願ってやみません。
今後とも当財団の事業へのご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2020年7月
GS1 Japan (一般財団法人 流通システム開発センター)
会長 迎 陽一